毎日異常な暑さですが、皆さんは「気候危機」という言葉を聞いたことはありますか?
テレビやニュースで耳にしたことがある方も多いかもしれません。
「環境問題」「地球温暖化」などの言葉は日常でも使うことが多くなっているのではと思います。
日本でも最近の夏の異常な暑さや異常気象で、地球が危ない状況に来ていることは実感としてあると思います。
地球がいまどんな危機にあり、それに対して出来ることは何なのか、一緒に見ていきましょう。
環境問題は人類最大のリスク
世界経済フォーラムが発行した「グローバルリスク報告書2024」によると、
今後10年間に直面する最も深刻な10のリスクのうち、5つは環境関連のリスク
(異常気象、地球システムの危機的変化、生物多様性の損失、天然資源の不足、汚染)
だそうです。つまり環境問題が人類の「経済」「社会」の最も重大なリスクになると分析されています。
今回はその中でも皆さんが実感としてあるだろう気候の変化についてみていきます。
気候変動とは
気候変動とは、地球温暖化によってこれまで経験してきた気象パターンとは異なる、いわゆる「異常気象」が増加する現象のことです。
今年の6月に環境省が出した「環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」によると、昨年2023年の気象災害からみて、今後国内外で深刻な気象災害等が発生し、地球温暖化の進行に伴い、豪雨や猛暑のリスクが更に高まると予想されており、「気候変動問題は危機的な状況にある」と言われています。
温暖化は深刻なレベル
地球の年平均気温は、産業革命によって石炭が燃料として使われるようになって以降、急激に上がっていきました。
地球がだんだんと温暖化していき、このまま気温が上昇すると何が起きるかの研究がなされ、また実際に様々な環境問題が起きてきたのを機に、これを食い止めようと議論が始まりました。
2015年に採択されたパリ協定では、「世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2度より十分低く保ち、1.5度以内に抑える努力をする」という世界共通の長期目標が掲げられています。
さらに2021年に英国で開かれたCOP26で、パリ協定で努力目標とされた「1.5度」が事実上の目標に格上げされています。
なぜなら、平均気温の上昇が2℃を超えるとティッピングポイント(小さな変化が蓄積した結果、ある時点を境に劇的な変化を起こす現象)を迎えて、グリーンランドの氷床崩壊、西南極大陸の氷床崩壊、熱帯サンゴ礁の枯死、永久凍土の突発的融解、ラブラドル海流崩壊など数々の環境における急激な変化が出てくるという研究結果が出たからです。
ところが、今年6月に環境省が出した「環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」によると、2023年の世界の年平均気温は、産業革命前より1.45℃(±0.12℃)上昇し、観測史上最高となりました。世界の平均気温は上昇傾向にあり、1970年以降、過去2000年間のどの50年間よりも気温上昇は加速しているといいます。
まさに待ったなしの問題となっているのです。
原因は温室効果ガス
温暖化の原因としては、温室効果ガスの増加があげられます。温室効果ガスは主に以下の種類(:発生源)があります。
- 二酸化炭素 (CO2): 化石燃料(石炭、石油、天然ガス)の燃焼、森林破壊
- メタン (CH4): 農業(特に牛のゲップ)、廃棄物処理、エネルギー生産
- 一酸化二窒素 (N2O): 肥料の使用、産業活動
- フロン類: 冷媒や工業用ガス
日本で排出される温室効果ガスのうち、もっとも割合が多いのは二酸化炭素で90.8%、次いでハイドロフルオロカーボン類4.5%、メタン2.5%、一酸化二窒素1.7%、パーフルオロカーボン類0.3%、六ふっ化硫黄0.2%、三ふっ化窒素0.03%となっています。
二酸化炭素の排出を削減することが緊急の課題と言えます。
「気候変動」から「気候危機」へ
2020年6月12日、「令和2年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」の閣議決定を契機として、環境省は、「気候危機」を宣言しました。まさに気候変動は待ったなしの危機的状況に入ったのです。
気候危機の影響
気候危機の影響は以下のように多岐に渡っています。
急激な気温上昇
世界平均気温が産業革命前より1.45℃上昇しており、今後もさらに上昇が予測されています。
2℃以上の上昇は多くの地域で壊滅的な影響をもたらすとされています。
異常気象の頻発
熱波、干ばつ、洪水、暴風雨、山火事などの極端な天候が増加し、これにより人命、財産、インフラが脅かされています。
海面上昇と沿岸浸水
氷河や氷床の融解、海水の熱膨張により海面が上昇し、沿岸地域や低地が浸水し始めています。小島嶼国や沿岸都市が特に影響を受けやすくなっています。
生物多様性の喪失
多くの動植物が生息地の喪失や気温の変化に適応できず、絶滅の危機に瀕しています。
また珊瑚礁の白化や海洋酸性化などが生態系に大きな影響を及ぼしています。
食料安全保障の脅威
干ばつや洪水により農業生産が不安定になり、食料価格が高騰する影響がみられます。
食料不足が深刻化し、特に貧困層に大きな影響を及ぼします。
健康への影響
熱波による熱中症や死亡リスクの増加がみられます。また感染症(マラリア、デング熱など)の拡大も懸念されます。
気候危機を食い止めるには
温室効果ガスの削減
緊急・即時かつ大規模な温室効果ガス削減を実行しなければなりません。
化石燃料から再生可能エネルギー(太陽光、風力、バイオマス)へ移行する必要があります。
省エネ技術や建物の断熱など、エネルギー効率の向上もしていかないといけません。
森林保護・植林
森林破壊の防止、植林活動の推進や森林管理の改善が必要です。
持続可能な農業
土壌の保全、持続可能な肥料の使用が必要です。水資源を管理し、作物を多様化させ、持続可能な形で農業技術を改善していかないといけません。
国際協力
パリ協定などの国際的な合意に基づいた気候変動対策の実施を急がなければいけません。
資金援助や技術移転を通じた発展途上国の支援も必要です。
個人の意識と行動
私達ひとりひとりができることとしては、まず環境への意識関心をもつこと。
持続可能なライフスタイルを考え、実践していくこと。
また消費者として責任をもって、エシカル消費(地球や社会への影響を考えた購買活動)を実践していくことが大切だと思います。
まとめ
気候危機は、全人類にとっての緊急事態です。迅速かつ持続的な対策が求められ、個人、企業、政府、国際社会が一丸となって行動する必要があります。この危機を克服するためには、科学的知識に基づく政策と、長期的な視点での持続可能な取り組みが不可欠です。
ひとりひとりが危機意識をもって、行動し、声をあげていくこと。そうすればより良い政策もでき、危機に対する効果的な結果をもたらしていくと思います。
この記事を読んで、危機意識を持ってくださったら幸いです。
「みんなが知れば必ず変わる」と環境活動家の谷口たかひささんも言っています。
まずは、知ること。ここから「みんなの1歩」が始まることを願っています。
【参考】
環境省令和6年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書(要約)
朝日新聞デジタル
温室効果ガスとは? 種類や原因、環境への影響、減らす方法を解説:朝日新聞SDGs ACTION! (asahi.com)