日本は経済的に豊かな国として知られていますが、その陰には多くの人々が貧困に苦しむ現実があります。特に、子どもやひとり親家庭、高齢者においては深刻な問題で、社会的な支援が不足しています。本記事では、貧困問題をエシカルな観点からみて、私たちにできる具体的な支援方法について考えていきます。
絶対的貧困と相対的貧困
絶対的貧困とは、人間が生きるために必要最低限の物資やサービスを得ることができない状態を指します。具体的には、食料や衣服、住居、清潔な水、医療といった基本的な生活条件を満たせない状況であり、発展途上国に多く見られる深刻な問題です。国際基準では、1日1.90米ドル以下で生活する人々が絶対的貧困層と定義され、命に直結するような極度の困難を表します。
一方、相対的貧困は、その国や社会の中で他者と比べて貧しい状態を指します。具体的には、国民の所得の中央値の半分以下で生活している人々が相対的貧困層とされ、先進国でも広く見られる現象です。相対的貧困は、生活に必要な最低限の物資を手に入れることができても、教育や医療、社会参加など、社会的な基準で満たされるべき権利や機会が制約されることを意味します。
相対的貧困は、社会の中での格差や不平等を示す指標であり、社会全体の公平性や福祉の在り方を考える上で重要な概念です。絶対的貧困とは異なり、単に経済的な問題だけでなく、社会的排除や孤立といった側面も含むため、支援や政策が求められる対象も広がります。
日本の場合、2018年の貧困ラインは127万円(1人世帯)です。この金額に世帯人数の平方根をかけると世帯人数ごとの貧困ラインも求められ、2人世帯だと約180万円、3人世帯だと約220万円、4人世帯だと254万円になります。
日本における貧困の現状
日本は一見すると豊かな社会ですが、その背後では多くの人々が貧困に苦しんでいます。特に深刻なのは、全人口の約15%が相対的貧困状態にあるという現状です。
子どもの貧困も大きな問題で、7人に1人が貧困状態にあるとされています。これは、教育や健康に直接的な悪影響を与え、将来の選択肢や社会参加の機会を奪う要因となります。特に、ひとり親家庭では貧困率が高く、全体の約半数が貧困状態にあるというデータもあります。また、高齢者の貧困も見過ごせない問題で、特に年金だけでは生活が成り立たない場合が多く、孤独や社会的孤立を招くことがあります。
都市部と地方の格差も存在し、地方では就労機会が限られているため、生活に困難を抱える家庭が多いです。これらの問題に対して、社会全体での支援や理解が求められています。
貧困問題とエシカル
貧困問題とエシカルな消費や行動は、密接な関係があります。貧困問題の解決において、エシカルな行動は重要な役割を果たします。
例えば、エシカル消費はフェアトレードや環境保護といった視点にとどまらず、地域社会で苦しんでいる人々への支援も含まれます。また、企業がエシカルな取り組みを行うことで、就労機会の創出や適正な賃金の支払いが促され、貧困の予防や改善に繋がります。
消費者としての選択も重要です。子ども食堂など生活困窮者を支援する団体への寄付や、食品ロス削減のためのフードドライブへの参加など、個々の行動が貧困層にとって大きな支えとなります。
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食品ロスと貧困問題を同時に解決する「フードドライブ」ファミマでも見つけました – Saricoとエシカル (sarico2023.com)
まとめ
日本の貧困問題は、一見豊かに見える社会の裏で深刻化しており、子どもや高齢者、ひとり親家庭などが大きな影響を受けています。エシカルな視点でこの問題に取り組むことは、社会全体の公正さや持続可能性を高めるために不可欠です。私たち一人ひとりが、消費行動を見直し、地域の支援活動に参加することで、貧困層の人々に対して実質的な支援を提供できるのです。
今後、企業や消費者がエシカルな選択を増やし、社会全体で支援の輪を広げていくことが求められます。例えば、エシカル消費を通じて経済的自立を促し、子ども食堂やフードバンクなどの支援活動を拡充することが重要です。
知ることは、変わること。今回の記事が皆さんの行動が変わるきっかけになれば幸いです。
参考
相対的貧困率とは 日本15.4%、米英より格差大きく きょうのことば – 日本経済新聞 (nikkei.com)
相対的貧困とは? 定義と現状、解決につながる対策を紹介:朝日新聞SDGs ACTION! (asahi.com)