フェアトレード全国フォーラム2025in名古屋参加レポート!滋賀にフェアトレードタウンを

2025年9月13日、名古屋コンベンションホール・愛知大学名古屋キャンパス・JICA中部なごや地球ひろばにて開催された「フェアトレード全国フォーラム2025in名古屋」に参加してきました。

一般社団法人日本フェアトレード・フォーラムが認定しているフェアトレードタウンは全国に7都市あります。今回のイベントはフェアトレードタウンについて知ってもらい、活動の輪を広げる目的で開催されました。

私も滋賀県にフェアトレードタウンを作りたいという想いがあります。今回シンポジウムや分科会を拝聴し、様々なことを教えていただき、沢山の学びとヒントを持ち帰ることができた素晴らしいイベントでした。

内容をダイジェストで皆さんにも共有したいと思います。

目次

第1部 シンポジウム

第1部の司会進行は愛知県の高校生が務められました。堂々としていてとても頼もしい進行でした。

開会挨拶

最初に名古屋市環境局 担当局長の嶋 久美子さんによる開会の挨拶があり、今回のイベントは名古屋で毎年9月に行われている「環境デーなごや」というイベントと合同開催であることや、名古屋は25年前に港区にある藤前干潟をごみの埋立処分場にする計画を中止し、「ごみ非常事態宣言」の発表により、市民・事業者と徹底的にごみを減らす取り組みを進め、藤前干潟を保全したことが活動の原点であることなどが紹介されました。

基調講演

世界と日本のフェアトレードタウン/フェアトレード大学。日本での始まりから現在地まで

その後の基調講演ではまず、日本フェアトレード・フォーラム顧問で東京経済大学名誉教授の渡辺龍也氏からお話がありました。2000年にイギリスのガースタンクでフェアトレードタウンの運動が始まり、日本では2011年に日本フェアトレード・フォーラムの前身であるフェアトレードタウン・ジャパンが設立されて取り組みが始まったこと、しかし「フェアトレード」という言葉の知名度は2024年の調査で57.1%、内容まで理解している割合は39.3%とまだまだ低いことが紹介されました。一方で日本でのフェアトレードの市場規模は年々増加し2024年時点で400億円、そのうちフェアトレード認証機関による認証を受けた商品は196億円という結果も紹介され、希望がもてました。

しかしながら渡辺氏は昨今の自国ファーストの蔓延、Woke(意識高い系)への反発、DEI(多様性、公平性、包摂性)の否定という世の中の流れがフェアトレードに逆風となっていると警笛を鳴らします。分断が進む世界の中でフェアトレード・フェアトレードタウン運動の意義や役割を再確認し、中長期の達成目標を定めることやフェアトレードタウンの認定基準のひとつ「地域活性化への貢献」を「公正かつ包摂的な地域社会作り」とし、ほつれつつある地域社会を編み直す必要性を説かれました。国内フェアトレードの手法を使ったり他の団体や運動と協働したり、「ファースト主義者」と対話して取り組んでいくべきだと締めくくられました。

フェアトレードタウンについて

次に愛知大学国際協力団体SEEDのメンバーから、フェアトレードタウンとはどんなものかについてとても分かりやすい説明がありました。

フェアトレードとは「公平・公正な貿易」のことです。生産者から適正な価格で継続的に購入することで、生産者の生活の改善や自立を促すことが出来る仕組みです。
また森林保全や生物保護の活動を通してSDGsの目標も達成することが出来ます。

フェアトレードタウンの認定基準6つについても紹介がありました。6つの基準はこちらです。

基準1:推進組織の設置と支持層の拡大
基準2:運動の展開と市民の啓発
基準3:地域社会への浸透
基準4:地域活性化への貢献
基準5:地域の店(商業施設)によるフェアトレード産品の幅広い提供
基準6:自治体によるフェアトレードの支持と普及

SEEDは「お買い物でできる国際協力」をキャッチフレーズとしてフェアトレードの普及活動をしているとのことで、とても魅力的なフレーズだなと思いました。

みんなで行動”地球のとのフェアトレード”で駆け抜けた名古屋の10年

次にNPO法人フェアトレード名古屋ネットワーク代表理事の宮川公平氏が登壇し、名古屋が2015年にフェアトレードタウンに認定されてからの、行政と市民・企業のアクションについて説明がありました。小学校の給食や市役所でフェアトレードの食材を使ったメニューが採用されたことや、小学6年生の冬休みの宿題にフェアトレードの項目を入れてもらえたこと、市民主導で「フェアトレード・デー・なごや」というイベントを毎年開催していることなどを始め盛り沢山の活動内容で、圧倒されました。

長い時を重ねた北海道札幌の草の根の活動。市民・学生・企業・自治体の大事な役割

次フェアトレードタウンさっぽろ戦略会議 会長の萱野智篤氏が登壇し、さっぽろは1980年代からフェアトレード運動が始まり、フェアトレードショップが増え、2007年からフェアトレードフェスタが開催されるなど市民レベルの協働は早くから始まっていたとご紹介がありました。そして2008年にフェアトレードタウンを目指す宣言が行われたものの、行政・議会との連携はゼロからのスタートだったといいます。しかし市民と若者たちの普及活動が活発に行われる中で、2017年にフェアトレードタウンさっぽろ戦略会議が発足し、関心を共有する行政職員と議員との出会いがあり、認定基準のフェアトレード商品販売店舗数も満たして、2019年にフェアトレードタウンに認定されました。このとき同時に札幌学院大学と北星学園大学・北星学園短期大学もフェアトレード大学の認定も受け、トリプル認定となったそうです。長い時間をかけて市民の活動の基盤がありそこから企業や自治体を巻き込んだ化学反応の結果と言えるとお話されているのが印象的でした。

祝誕生。2025年3月認定。希望と勢いと新構想あふれる鎌倉の新鮮な今とパワフルな未来

次に今年2025年3月にフェアトレードタウンに認定された鎌倉市の推進団体 鎌倉エシカルラボの共同代表 平野祥子氏から、認定までの活動内容について沢山の画像と共に説明がありました。映画の上映会やマルシェ出店、勉強会や壁画活動など、多彩な活動内容がとても良く分かる生き生きとした写真のスライドで紹介され、フェアトレードタウンへの夢をもって活動している仲間には心強い発表となったのではないでしょうか。市民投票により誕生した「鎌倉焙煎珈琲フェアトレードかまくらブレンド」はとても魅力的な取り組みで、活動のヒントにもなりました。

日本8番目のフェアトレードタウン認定に一番近い愛知県大府市の子育てママたち

次にはフェアトレードタウン認定間近という愛知県大府市の推進団体 おおぶフェアトレードタウン推進委員会代表の平見舞子氏よりお話がありました。今年2025年6月に大府市は地元議会がフェアトレードを支持する旨の決議を採択し、7月には市長による「健康都市おおぶフェアトレード宣言」がなされました。住みよさランキングでも上位であることが紹介され、子育てママさん達の運営メンバーによるパワフルな活動紹介が印象的でした。認定が待ち遠しいですね。

フェアトレード大学が人と地域と時代をつなぐ新たな挑戦

基調講演の最後は日本で5番目にフェアトレード大学に認定された千葉商科大学の学長補佐兼総合政策学部長 今井重男氏からお話がありました。持続可能な社会づくりを目指す学生団体「CUCエシカル学生クラブ」が中心となり、学生・教職員・大学側が連携しキャンパス内外で活動している内容が紹介されました。非常食にもなるパンの缶詰を活用した世界の飢餓救済活動「救缶鳥プロジェクト」への参加や、フェアトレードのチョコレートとバナナを組み合わせたチョコバナナの親子手作り教室などは、興味深い取り組みだなと思いながら拝聴しました。「商業道徳”まっとうな商い”を通じた未来創造は建学の思いであり、フェアトレードの理念と等しい」という商科大学ならではの視点のお話も印象的でした。

応援挨拶

第1部の締めくくりとして名古屋市長の広沢一郎氏が挨拶され、「地球とのフェアトレード」という視点から国内や地域の特産品、水などの資源も公正で適正な消費をしていく必要についてお話がありましtだ。

各地のフェアトレードタウンの活動展示

シンポジウムの会場では札幌、鎌倉、大府、いなべ、名古屋、そして千葉商科大学の活動展示や商品の販売が行われ、基調講演が終わったあとは沢山の参加者の注目を集めていました。

第2部 分科会

午後の前半は4つのグループに分かれて分科会が開催されました。

第1分科会「フェアトレードタウンなごやの10年とこれから~歩みを未来へつなぐ~」

第1分科会ではNPO法人フェアトレード名古屋ネットワーク代表理事の宮川公平氏が、名古屋がフェアトレードタウンに認定されてから歩んだ10年の実践を第1部の紹介に引き続き詳しく解説し、名古屋市環境局環境企画部長の平野恵嗣氏による行政からのアクションの説明も加えられたほか、世界フェアトレード・デーなごや実行委員会委員長の鈴木日奈子氏とエシカル・ツキイチ・マルシェ実行委員会委員長の松田建次氏によるイベント運営において苦労した点や工夫した点についてのお話、株式会社SHANTI SHANTI COFFEE FARM代表取締役の池島英総氏とパタリバザール市マヤタリ村農場農園主でDCPAディベロップメントコーヒープロダクトアソシエーションことシンジャ郡子コーヒー組合 社長のボド・ラジ・アリヤル氏によるデュカというスパイスにおけるフェアトレードの可能性と名古屋との取り組みについてのお話がありました。

第2分科会「フェアトレード大学という選択肢~学生と社会が共に動き出すとき~」

第2分科会は千葉商科大学 学長補佐兼総合政策学部長の今井重男氏とCUCエシカル学生クラブの皆さん、一般社団法人日本フェアトレード・フォーラム副代表理事の高津玉枝氏が登壇し、大学での取り組みが紹介されました。フェアトレードのチョコレートも美味しいという切り口から話題に入るなど大学生ならではの視点も伺いました。

第3分科会「フェアトレード×学生×企業!共創から生まれる新しい商品」

第3分科会ではNPO法人フェアトレード名古屋ネットワーク理事の三輪昭子氏、名古屋外国語大学宮川研究室フェアトレードコットンプロジェクトの皆さん、認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長の潮崎真惟子氏が登壇し、商品開発についてのお話がありました。名古屋外国語大学宮川研究室では「つなげるポーチ」という、フェアトレードコットンを日本の障害者事業所で絵柄デザインと梱包をした商品を開発したことなどが紹介されました。お客様の声や若者目線での商品開発の重要性、開発の際に大学生と高校生でも視点が違うこと、フェアとはどういうことなのかという議論から人と人との関係がフェアという考えや、障害者の賃金が安いことへの問題提起、また学生の活動を継承していく難しさなどが共有されました。

第4分科会「国際開発とフェアトレードが出会うとき~JICAの現場から~」

第4分科会では独立行政法人国際開発機構JICA中部センター所長の上町透氏とアフリカ工房代表の前田大蔵氏から、国際協力の最前線でフェアトレードがどのように活用されているのかについてお話がありました。フェアトレードにおけるコーヒーの占める割合が多いことや、気候変動や都市部の拡大によって農地が減少している危機感が語られました。フェアトレードの認証機関の大規模な仕入れに対して小規模農家が善なのかという議論、どういうことが幸せなのか、フェアなのかという問題提起もされました。

第5分科会「未来を描くフェアトレードタウン~基準を超えて広がる可能性~」

後半の第5分科会は全員参加で行われました。一般社団法人日本フェアトレード・フォーラム代表理事の内山大志氏と副代表理事の高津玉枝氏の主導のもと、海外の先進事例を聞いたうえで、日本の現状をかんがみて、フェアトレードに取り組んで良かったことと悩んだこと、それからどんなものがフェアトレードになったら良いかについてグループでディスカッションした後、みんなでシェアしました。最後は逗子フェアトレードタウンの会理事で一般財団法人国際貿易投資研究所客員研究員の長坂寿久氏がフェアとは何かという哲学的とも言える問いについての話題提供がなされました。

第3部 クロージング

クロージングでは各分科会で話し合われた内容が共有され、これからのフェアトレードタウンやフェアトレード大学の未来、そしてフェアトレードタウンなごやのこれからの10年について宣言がなされて和やかにイベントは終了しました。

10周年マルシェ

10:00から17:00の間JICA中部なごや地球ひろばでマルシェが開催され、25店舗の出店と8つの学生団体の出店がありました。イベントの合間の短い時間しか滞在できず、すべて見ることができなかったのですが、お話を聞けたいくつかのお店をご紹介します。

INSHUTI

アフリカンバティック(アフリカ布)を使った服や小物雑貨を販売しているお店です。ルワンダのテイラーが足踏みミシンで作ったものをフェアトレードで仕入れています。現地で布を選び、商品開発もするなど精力的な活動をされていて、現場のお話はとても興味深かったです。(INSHUTIさんInstagramはこちら

365

愛知県に実店舗があるお店です。カンボジアのスラムに住むお母さん達が職業訓練をして作ったペンケースやポーチをフェアトレードで仕入れて販売している他、日本の障害者福祉施設で作られた雑貨を主に販売されています。ペンケースが可愛くて購入しました。中はまた違う布を使っていて変化が面白く、手が込んでいる作品でした。

(365さんInstagramはこちら

ATELIER RELIESA

車のフロントガラスに使われる中間膜をリサイクルして絵の具にしたディンプルアートのお店です。作品は凹凸があってキラキラととても綺麗でした。廃材も色んなアイディアで面白い商品が生まれるのだなと感動しました。

(ATELIER RELIEさんのInstagramはこちら

琵琶湖と真珠と・・・

なんと、琵琶湖でとれる琵琶パールを扱ったお店の出店もありました。名古屋の方だそうですが、琵琶パールに魅せられ、真珠を通して自然と人との共生について考えたり行動するきっかけになればと活動されています。名古屋で琵琶パールに出会えると思っていなかったのでとても感動してしまいました。

(琵琶湖と真珠と・・・さんのInstagramはこちら

滋賀にフェアトレードタウンを

あっという間の1日で盛り沢山のことを学べ、ヒントがもらえた充実のイベントでした。沢山の繋がりもでき、今後の活動に生かしていきたいと強く思いました。皆さんもフェアトレードやフェアトレードタウンについて知識が深まっていたら嬉しいです。滋賀県にフェアトレードタウンを!活動の輪を広げていきたいと思います。

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